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食材への思い
私どもはお客様に対して、
もしかしたら大変に横柄で失礼な
ルールやお願いを押し付けている
かもしれません。
ですが、どうかこの思いを知って頂き
その上で私どもの考えがおかしいのか、
また食事に対する敬意を改めて
思い直すきっかけにして頂くか
の機会にしてもらえると幸いです。私は母から幼い頃、よく食べ物の
大切さを説かれていました。
母の両親、所謂祖父母が農家を
やっていていつもお米や野菜を
送ってくれていたのです。
幼いので母の言う事に理解が浅く、
よく食事を残したり好き嫌いをしたり
と我儘を言っていました。そんな母が、小さな私にいつも
言っていたのは
「作った人の顔を思い浮かべなさい。」
でした。
どのような思いで作り、私の口に
入るまでどのような苦労があったか。今、大人になり食事を振舞う事を
生業にしている私にとっては
それが痛いほどによく分かるようになりました。
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当店で扱う地鶏や合鴨、お野菜やお酒などは、
生産者の皆さんが試行錯誤して作り出し
朝はお客様が寝ているような時間から起きて
私どもに送り届ける準備をして下さいます。一般的にはスーパーなどで売っている肉塊が
お客様の持っている肉のイメージだと思います。
しかし、肉にも元には命がありました。
ほんの1日前まで生きていた命を我々は
頂戴して、それを趣味や嗜好、
生業のために頂いております。調理することもただ放っておけば出来るもので
はありません。
届いた肉をカットして串に打ちをおこして
常日頃からどの位の火の通り加減が
最良なのかを考えながら、それを目指して
焼きにかかります。人間の為に捧げてくれた命と体、
沢山の思いが詰まった一本の焼鳥を、
残されたり楽しくない食事になされたり、
逆に楽しすぎて食べるのを忘れ
長時間放置されて美味しさがどこかへ行って
しまった皿の上の焼鳥を見ると
私はとても悲しくなります。
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お客様が、楽しく美味しい食事にして頂く
ため、私どもが快く仕事に務めれる為、
お互いの為にルールやお願いがございます。この世の中から、漁や畜産は無くなることは
おそらくありません。
私どもに出来ることはせめて、
一番美味しく食べることのご提案と、
それを受け入れて頂き堪能して頂くことが
せめてもの報いではないでしょうか。長文になり申し訳なく思いますが、
出来ることならばこの思いを皆様に読んで
頂きご理解して頂いた上で、
私の提供出来る焼鳥をお召し上がり頂ければ、
この上なく幸いに思います。
有難うございます。
























